UnrealEngine5で動作するPixelStreaming環境を構築する

UnrealEngine5で動作するPixelStreaming環境を構築する

ここでは、EC2上に用意したWindows Server 2022上でUnreal Engine 5.4を使用したPixel Streaming環境の構築方法を解説しています。
Clock Icon2024.08.10

こんにちは!ゲームソリューション部の出村です。

本記事では、Windows PC上でPixel Streamingの配信環境を構築する方法をご紹介します。今回は、EC2上に構築されたWindows Server 2022にインストールされたUnreal Engine 5の環境を活用して環境を構築していきます。

なお、EC2上のWindows Server 2022にUnreal Engine 5をインストールする方法は、別のブログ記事で解説していますので、そちらを参考にしてください。

Pixel Streamingの概要とメリット

Pixel Streamingは、Unreal Engineで開発されたコンテンツをWebブラウザ上でストリーミング配信するための革新的な技術です。この技術により、ユーザーは高品質な3Dグラフィックスやインタラクティブなコンテンツを、特別なソフトウェアをインストールすることなく、直接ブラウザで体験できます。

Pixel Streamingの主なメリットは以下の通りです:

  1. クロスプラットフォーム対応:PCやモバイル、タブレットなど、Webブラウザが動作するほぼすべてのデバイスで利用可能です。

  2. 高品質なグラフィックス:クライアント側のハードウェア性能に関係なく、サーバー側で処理された高品質なグラフィックスを提供できます。

  3. リアルタイムインタラクション:低遅延のストリーミングにより、ユーザーの入力に対してリアルタイムで応答することが可能です。

  4. セキュリティ:コンテンツがクライアント側にダウンロードされないため、知的財産の保護が容易です。

  5. 簡単な更新とメンテナンス:サーバー側のアプリケーションを更新するだけで、すべてのユーザーに最新版を提供できます。

  6. ハードウェア要件の軽減:クライアント側で高性能なハードウェアが不要なため、より多くのユーザーにアクセスを提供できます。

これらのメリットにより、Pixel Streamingは教育、トレーニング、製品デモ、建築ビジュアライゼーション、ゲームなど、様々な分野で活用が期待できます。

Pixel Streamingで配信する環境を構築する

ここでは、Windows Server 2022上でUnreal Engine 5.4を使用してPixel Streaming環境を構築する手順を解説します。

前提条件の確認:

  • Windowsが動作していること(今回はWindows Server 2022を利用)
  • Unreal Engine 5.4がインストールされていること
  • Visual Studio 2022がインストールされていること(C++開発環境を含む)

環境を構築する

では開発環境を構築していきます。今回はThird Personテンプレートをベースに作成します。なお、Pixel Streamingの公式ドキュメントも併せてご覧いただくと、理解がより深まります。

1. Third Personプロジェクトの作成

  • Unreal Editorでプロジェクトを開く
  • Third Personテンプレートを使用してプロジェクトを作成
  • プロジェクト名は「PixelStreaming1」(任意)とする

2. Pixel Streamingの設定

  • [Edit] > [Plugins]メニューから「Pixel Streaming」プラグインを有効にし、エディタを再起動

  • [Engine] > [Input]カテゴリで、[Always Show Touch Interface]を有効化

  • [Edit] > [Editor Preferences] > [Level Editor] > [Play]カテゴリで、[Additional Launch Parameters]に
    "-AudioMixer -PixelStreamingIP=127.0.0.1 -PixelStreamingPort=8888" を入力

3. プロジェクトのパッケージ化

  • Unreal Editorで[Platforms] > [windows] > [Package Project]を選択

  • 出力先ディレクトリを選択し、パッケージ化を実行
  • 出力先ディレクトリにサーバー実行用EXEファイルが生成されていることを確認

4. 実行ファイルのショートカット作成

  • 生成された実行ファイルのショートカットを作成
  • ショートカットのターゲットの末尾に "-AudioMixer -PixelStreamingIP=127.0.0.1 -PixelStreamingPort=8888" を追加

5. サーバーの起動を確認

  • 先に作成したショートカットをダブルクリックする
  • ゲームがプレイできることを確認する
  • ショートカットのターゲットの末尾を "-AudioMixer -PixelStreamingIP=127.0.0.1 -PixelStreamingPort=8888 -RenderOffScreen"と"-RenderOffScreen"を追加。これでサーバー実行中の画面が表示されなくなります。

6. Pixel Streamingソースコードの取得

Pixel Streamingによる配信に必要なソースコードはGitHubで配布されています。これらのファイルを使用して環境を構築を進めます。

  • GitHubからUnreal Engine 5.4向けPixel Streamingのソースコードを取得
    a. Gitコマンドが使用できるよう設定(Git for Windowsをインストールなど)
    b. 次のコマンドを実行:
$ git clone --branch UE5.4 https://github.com/EpicGamesExt/PixelStreamingInfrastructure.git"

7. Pixel Streamingサーバーに必要なソフトウェアのインストール

a. 管理者権限つきでコマンドプロンプトを起動
b. 先ほどgit cloneしたPixelStreamingInfrastructureフォルダに移動
c. SignallingWebServer\platform_scripts\cmdフォルダ内のsetup.batファイルを実行し、必要なソフトウェアをインストールします。

8. Pixel Streamingサーバーの起動

a. 管理者権限つきでPowerShellを起動
b. 先ほどgit cloneしたPixelStreamingInfrastructureフォルダに移動
c. SignallingWebServer\platform_scripts\cmdフォルダ内のStart_SignallingServer.ps1ファイルを実行。実行すると次の表示となります。

9. Pixel Streamingアプリケーションの起動

  • "5. サーバーの起動を確認 "の段階で作成したショートカットを実行します

すると、PowerShellの出力内容が次のように変化します

10. ブラウザからPixel Streamingサーバーに接続

a. Chromeなどのブラウザでhttp://127.0.0.1 にアクセスします

b. ブラウザ内をクリックするとゲームプレイが可能になります

まとめ

以上の手順で、Pixel Streamingのプレイ環境が構築できました。今回は手間を最小限に抑えるため、Pixel Streamingのサーバーとブラウザを同一PC上で動作させています。実際にサーバーとして外部に公開する場合は、セキュリティグループの追加設定が必要となりますので、ご注意ください。

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